日本人が歯を失う理由は5年に一度行われる「歯科疾患実態調査」で統計が取られています。
一番新しいものは平成28年度に行われたものです。
その結果は、歯周病が理由で歯を失う割合がおよそ4割、虫歯が理由ではを失う理由が3割でした。
この結果をポジティブに捉えるなら、虫歯と歯周病が完璧に予防できれば、70%の歯を失わずに済むことになります。
事はもっと複雑なので、実際はそこまでのインパクトは無くなるでしょうが、
歯を失う本数が大きく減る事は間違いありません。
そこで、歯周病と虫歯の予防に歯医者さんでは力を入れて取り組むことになりますし、当院でも例外ではありません。
その中で、歯周病と虫歯は予防のプロセスが全く異なってくる事はご存知でしょうか。
歯周病は、歯周病の原因となる細菌と体の免疫の戦いの結果として起こるものです。
両者の相対的な力関係によって炎症が起こるかどうかが決まるため、
細菌をへらす(プラークコントロール)+免疫を高める(体の健康を維持する)
という二つの面からのアプローチを持続的に行う事が求められます。
徹底的なプラークコントロールがなされれば歯茎の炎症は落ち着いていきますし、
糖尿病などで免疫に影響が及ぶと、今までと同じようにプラークコントロールをしていても炎症が強まります。
一方で虫歯には4つの因子が関連していると考えられています。
・歯の質
・食べ物
・細菌
・時間
4つの因子が揃ってしまうと虫歯になるプロセスが始まってしまうので、4つのうちどれか一つでも0にできれば虫歯にはなりませんし、どれかの因子を0にできないまでもリスクを小さくする事で虫歯になりにくくすることもできます。
そのために
・フッ素入り歯磨き粉の使用
・シュガーコントロール
・プラークコントロール
・摂食指導
などを中心として、患者さんのリスクに応じてコストパフォーマンスで優れると考えられる因子へのアプローチを予防プログラムとして行なっていきます。
虫歯予防の難しいところは、ブラッシングの指導にウエイトを奥だけでは実現できない、というところです。
患者さんごとに虫歯や歯周病それぞれのリスクの大きさは違います。
お口のリスクを見極めて、患者さんにあった予防プログラムをご提案することが、虫歯や歯周病の予防効果を高め、結果として長く自分の歯でしっかりとお食事をとっていただくことにつながります。
当院は完全担当衛生士制ですので、お一人お一人のお口の中で、どんなことが将来心配されるのかをご案内できるよう様々に様々な角度から検証して、時間の経過の中での変化をとらえながら最適な予防を患者さんと一緒に考え、二人三脚で「歯と健康を守ることができる予防歯科」を実現できるよう取り組んでいます。